言語の習得レベルを自分で測ることは難しいものです。ましてや、英語のように明確なテストが少ない場合、チェコ語やポーランド語って言語能力試験はありますが、その判定も難しい。自分がいったいどのレベルの言語力なのかを知ることは、本当に難しいものです。
いったいどれくらいの単語を覚えたらいいのか分からずに、挫折し。
ヒアリングをしても一向に向上せずに、挫折し。
チェコ語とイタリア語も一定のフレーズや挨拶はできますが、チェコ語で思考しているわけではありません。英語も比較的成長してはいますが、英語で思考しているとも思えないわけです。
世の中で、言われている学習方法は無数にあります。
その人にあった方法が一番であるという論調もあります。
私は今も紆余曲折しています。
しかし。
期間でいえば、一番みじかいポーランド語が今まで学習してきた言語の中で一番できると思っています。その理由について体系化を試みているのですが、この前、散歩していて蜘蛛の巣をぼんやりと眺めていたら、前に言語化できたらいいなとここで書いたことの仮説のようなものが浮かんできました。
まず、明確に断言できるのは。
言語は、繰り返し。これが、真実だと思います。
これまでの学習で、チェコ語の単語、イタリア語の単語を覚え、英語のフレーズ、文法を勉強し、スピーキング、ヒアリングをたくさん試みてみましたが、どれだけたくさんの物事を頭に入れても、話せるようにはなりません。
なぜなら、自分がどうなりたいのかがぶれているから。
前述した、勉強法は、全てスキルで言うとバラバラなものです。バラバラなスキルを満遍なくトレーニングするより自分がしたいことの比重(ウェイト)に合わせてトレーニングする必要があります。
話したい人は、単語の学習より、スピーキングの練習をひたすらしなければならず、読みたい人は、単語の学習と、リーディングとヒアリングが必要ですが、一番しなければならないのは、リーディング。
それらのスキルをごちゃごちゃにトレーニングするよりも、まずは一点突破する方がいいわけです。
私がポーランド語が伸びた理由は、日常会話ができるようになる。と決めたからです。日常会話に使わない単語は覚えませんでしたし、ひたすら5個くらいのフレーズを寝言で言えるレベルで繰り返しました。
ところで、蜘蛛の巣の作り方ってご存知でしょうか。
1、お腹から何本か糸を出し、風に乗せて縦糸を張る。
2、どこかにくっついた縦糸を起点としてその糸を、丈夫にする。
3、丈夫になったら、中間ポイント(中心部)に行き、また縦糸を出す。
4、何本か足場となる縦糸ができたら、横糸を張る。
こうして、あの姿が出来上がるわけです。
私のポーランド語学習は、たくさんの単語を覚えることをメインとせず。少ないフレーズを徹底的に繰り返すことにより、単語を日本語にイメージする作業を超えて、それしか言えないという状況を作り出しました。そうすることで、覚える名詞や動詞は、入れ替えが可能なものだと理解ができました。
本屋に、行きたいのですが。
駅に、行きたいのですが。
レストランに、行きたいのですが。
本屋に、本を買いたいのですが。
レストランで、ビールを飲みたいのですが。
この全てに共通する縦糸は。
“私は…したいのですが“
です。
これだけを頭の中に入れると、したいこと(動詞)、その対象(名詞)を覚えることでかなりの数の表現を話すことができるようになります。
単語を2000覚えるのも必要ですが、覚える単語は必要性なので、例えば自分がベジタリアンではない限り、ベジタリアンという単語は必要ありません。
この、縦糸を5から10徹底的に頭の中に浸透させると何が起こるか。
ポーランド語で思考する癖がつきます。
これも言い方を変えます。
何かしたいと思った時に、ポーランド語が頭に浮かぶことが少しずつ増えてきます。
何かの存在。
この時使うポーランド語は“ma“です。
フランスには美味しい食べ物がたくさんある。
あるって言い切っているから、"ma"
Francja ma świetnie jedzenie
名詞は最初と最後。フランスと食べ物
それを形容する“美味しい“
この1フレーズを寝言で言えるように繰り返すと。
日本には美しい景色がある
と言いたい時
日本 ma 美しい 景色
になるのですが、この時、他の単語を知らなくても大丈夫です。
蜘蛛の巣で言うと4だから。
この理屈を知り合いのポーランド人に話したら共感してくれたので、ポーランドに行った時に話してみようと思います。
住む場所なんてどこでもいいけど、どうせならビール大国に住みたい。
ポーランドとチェコが隣国で本当に良かったなと思います。